秋 菊の花の思い出
父が亡くなって 母が父の菊を数年育てたと思う
たぶん 15年くらい前の
母の思いの込められた絵手紙だ
毎年 市の秋の文化祭が 11月のはじめに数日行われ
父が一年かけて端正込めた菊の鉢を
テントが父の名札が埋まるほど出展していた
父の妹の叔母もセミプロの画家で
毎年 大作を美術展に出していたので
親族みんなが毎年見に行くこととしていたが……
たぶん 父が亡き後 出展しなくなってから・・・・
母は 残された菊が咲くのを見れば 夫を思い・・・
孫を連れて入れ代わり立ち代わりやって来ていた
にぎやかな頃を思い出していたのかもしれない
毎年のように輝いていた人生の秋の実りの暮らし……
母は ひとり 菊を見ながら思い出して
寂しいとか泣き言を言ったことがないけれど
絵手紙に心を託していたのだろう
子育て中の私たちに 忙しかろうと気を使い
回りのものにも気を使っていたんだろう
2000年10月23日 膵臓癌で亡くなった父 (70 才)
最後の最後まで
痛みながらも毎日 庭で菊の花の世話をして
咲きはじめたのをみとどけたと同時に
意識がおかしくなりました
数日後 親族に囲まれての最後でした
亡くなったあと 秋の文化祭で
最期の心を込めた父の菊の花が
いつものように展示されました
父の言葉
菊を育てるのは子育てより大変だよ
喋らないからね・・・・
誰よりもどれよりも綺麗に咲かせることのできる父に
私たち4人のこどもは育てられてきたのだ
どれだけ 素直にその心を感じてきたろうか・・・
反省と共に感謝と尊敬の気持ちで
胸熱くなったのは
私が35歳頃であったと思う